ある外国人労働者の自立〜映画『コンプリシティ/優しい共犯』

 外国人技能実習生という制度があることは、今やほとんどの人が知っている。そしてその制度が、人権の視点からも問題ありということも知られてきた。外国人労働者の受け入れが始まった1990年代後半、房総の干物製造業を訪ねた時に従業員のほとんどが中国人だったことや、今の外国人技能実習生制度が発足してから、長野県のレタス産地で有名な川上村を訪ねると、夏の農家の手伝いが学生アルバイトから中国人に、宿舎が農家受け入れから近くのアパートに代わっていたことを思い出す。それまでは、食事も何もかも家族と一緒だったが、そのころは、すべて実習生自身が賄い、農家は手間がかからなくなってよかったと話していた。

 この映画は、夢を持って来日したにも関わらず、あまりに過酷な労働条件に耐えられなくて実習先を逃げ出した青年の物語である。逃げること、嘘をつくことを余儀なくさせる社会制度って何なのかと思う。そんな中でも、何とか自己を保ち誠実に生きようとする実習生の一側面である。

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